2015年5月29日金曜日

〜えんせいかつより〜2015.5.29

園から毎月発行される「えんだより」からの抜粋です。

〜えんせいかつより〜

 天のおつかいとしてのハトを子どもたちが持ち帰りました。春の日々に自然界が再び目覚め、いのちの復活をよろこびと共に受けとりました。今、地中のすべてのいのちが太陽の呼びかけに応じて地上に表れ、光の中で戯れています。まだ感覚の豊かであった古代の人びとが太陽と大地の結婚の季節として祝ったように、この季節は天と地の間を自由に飛び交う鳥の囀りが美しく響き、真っ白いハトは天と地を結ぶシンボルなのです。

 そして私たち人間は天と地の間に光の柱としてまっすぐに立ち、天をあおぐ頭で思考力をみがき、2本の足で地上にしっかりと立って仕事ができる存在なのですね。精神的な領域からやってきた子どもの魂が、7年かけて地上の衣をまとい、まっすぐに立ち歩くということは、”人間になる”大事な道すじなのです。軽やかに立ち歩く子どもは正しく考えられる子どもになります。その傍には正しい思考に貫かれた美しい大人の立ち姿がモデルとして必要ということなので心がひきしまります。

 気持ちよく晴れた日に高くのびた園庭の柿の木の下のハシゴに上った教師が枝を切り落とし、子どもたちが何度も蒸し上げては切れないようにそっと広げてザルに並べ、そして2週間ほど天日乾しされました。カラカラに乾いた歯を子どもたちは本当に熱心に両手で揉んで香り高い柿の葉茶ができました。子どもたちは園庭から摘み取られ、自分たちの手仕事を経たレモンバームやミントやこの柿の葉茶が大好きです。手塩にかけたお茶は理解可能で愛着がわき、味わいも深く体験されるのでしょう。これからの季節、梅の仕事も始まります。子どもたちの感覚が豊かに耕されてゆくことを願います。

 子どもたちがまといつつある地上の衣はたくさんの感覚の門がついていて、その門を通じて子どもは世界と親密に出会います。スマホやテレビなどの情報媒体の攻撃から子どもを守る大人の願いは感覚を守る生活の中で叶えられます。

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子どもたちがこの時期持ち帰るハト


子どもたちがつくった柿の葉茶