大嶋先生が見せてくださった見本は、とても美しく、
絵画の様な深みのある配色にはとても驚きました。
羊毛の色を巧みに操ると、こんなにも繊細な表現ができるのかと思 うと、
とても楽しみで興奮してしまいました。
ところが、いざ作業を始めてみると…
巧みに操るどころか、荒れた 手に引っ掛かってかなり悪戦苦闘する始末。
羊毛はフワフワ浮いてくるし、色の深みを演出する繊細な配色作業 は
高すぎる望みだったとすぐに悟りました。
私が描いたのは『くじゃくと金のりんご』
末っ子の王子が真夜中に木を見上げると、 金のりんごが実り始めて、
金色の孔雀が下り立つ… というシーンにしました。
当初は少しでも難易度をあげないように
『 実り始めたりんごを王子が見上げる』だけの構図にしていました。
ところが帰宅後に「くじゃくも描いた方がいい」 という
息子のリクエストにより、 急遽くじゃくを必死に配置してみました。
厳しい息子のお陰で、 お話しのイメージに近い羊毛画になりました。
読み聞かせるたびに、 なんて美しい様子だろうと思いめぐらせていたシーンを形に残せて 、大切な物がまた1つ増えました。
大きくなるに連れて読み聞かせることも徐々になくなっていくかも しれませんが、 この羊毛画を見るたびに幼少期の温かい時間を思いだして浸れる気 がします。
作業の間、柔らかく温かい羊毛を配置していると、 実際に手や心まで温かくなる感覚でした。
穏やかに集中して作り上げたものが形として残るのは、その時間の美しさも込められているようにも思いました。
春に向けてまだしばらくは続く寒い日に、おすすめの手仕事です。
温かい時間をありがとうございました。
(在園保護者 須山こずえ)